マーケティング翻訳を発注する会社が知っておきたいポイント

新型コロナ以降、ITサービス、Saasサービスはこれまで以上に伸びばしています。国内のITサービスも多言語展開が一般化しており、何をどこまで翻訳すべきか?といった情報収集をしている会社も多いのではないでしょうか。

海外製品や国内製品のマーケターにとっては、拡販の最初の関門が翻訳・ローカライズになります。

しかし、言葉の転換だけではわかりにくい、伝わらない、、、と頭を抱えるマーケターは決して少ないなくはずです。

近年では、マニュアルだけではなく、ブランドストーリーやヘルプ動画を工夫して用意したいという会社が増えています。スピード感を求められるマーケティングチーム内でこうした作業を内製やることは決して容易ではありません。結果的に品質・コスト・スピードを総合的に判断しマーケティング翻訳に精通した会社に相談することは一つの選択肢になります。専門用語や業務の進め方に関するノウハウが豊富となっており、コンテンツマーケティング支援をしている翻訳会社の場合だと、翻訳+αの提案をしてもらえる時もあるのが主な理由です。

本記事では以下の内容についてご紹介したいと思います。
  • IT業界のマーケティング翻訳を翻訳会社へ任せる3つの理由
  • ITマーケティング翻訳を知るための事例5選
  • マーケティング翻訳の工程管理の概要とは?
  • 翻訳会社にはどんな情報を渡せばいいのか?
  • マーケティング翻訳・通訳支援のオプション

ITマーケティング翻訳を翻訳会社へ任せる3つの理由

ITマーケティング翻訳を翻訳会社へ任せる3つの理由

IT業界のマーケティング翻訳を翻訳会社へ任せる理由は、以下の3つとなります。

  1. 専門用語データべースが豊富
  2. ユーザー生成コンテンツに早期対応可
  3. SEO対策やWebマーケティングのノウハウ

それぞれ順番に見ていきたいと思います。

専門用語データべースが豊富

IT業界のマーケティング翻訳では、コンピュータ支援翻訳(CAT)ツールを使って機械翻訳のスピードと生産性を向上させ、専門用語データベースを用いた翻訳プロジェクトの進行管理を行う仕組みが重要です。

たとえば、新規開発されたIT機器の海外進出のマーケティング翻訳を手掛ける場合。

過去の類似案件にもとづき、ローカライズにふさわしい自然な言い回しを徹底できるかどうかは、データベースのナレッジが持つクオリティ次第と言えます。

マーケティング翻訳を専門としている翻訳会社には、長年培った翻訳用語のデータベースが蓄積されています。

過去の実績にもとづいた品質を長期にわたって維持できる仕組みが大きな利点です。

また、用語のデータベースにより、過去納品物との用語のズレというミスを未然に防げますので、用語データの蓄積はリスク対策という観点から考えても重要です。

ユーザー生成コンテンツに早期対応可

ユーザー生成コンテンツとはUser Generated Contents(UGC)と呼ばれ、一般的にはユーザーが作成した画像や動画コンテンツを指します。

たとえば、B2Bマーケティングでは一般企業が広報活動や人材採用の一環でプロモーション動画を公開しています。

動画コンテンツの視聴者が配信企業の会社事業や労働形態について理解を深めるだけでなく、ブランディングの構築も狙いの一つです。

海外展開を始まる場合には、動画コンテンツに外国語で字幕を挿入する必要があるため、UI翻訳などユーザー生成コンテンツにすぐに対応できるかどうかも判断の指標となります。

SEO対策やWebマーケティングのノウハウ

SEOとはSearch Engine Optimizationを指し、Googleのような検索エンジンで上位に表示される施策を「SEO対策」と呼びます。

IT業界のマーケティング文書はホームページに掲載されるケースが多く、Webマーケティングとも切り離せないのが現状です。

また、海外進出する際には多言語サイトの構築も重要な施策となります。

この時にはSEO対策とWebマーケティングのノウハウを持っている翻訳会社に依頼すると、翻訳+αの面で拡張サービスを受けられます。

実際にどこまで対応できるかは翻訳会社によるので、直接問い合わせてみましょう。

ITマーケティング翻訳を知るための事例5選

【翻訳実務】IT業界のマーケティング翻訳を知るための4つの事例

本記事でお伝えしたいIT業界のマーケティング翻訳の実績分野は、以下5件です。

  1. 広告・マニュアル・カタログ・パンフレット翻訳
  2. UI翻訳
  3. 営業取引文書・商談文書
  4. 海外イベント・マーケティングレポート翻訳
  5. 映像翻訳

それぞれ順番にご紹介したいと思います。

広告・マニュアル・カタログ・パンフレット翻訳

外資系企業が日本に商品やサービスを売り込みたいときに、広告・マニュアル・カタログ・パンフレットなどの文書翻訳を依頼します。

基本的には「日本の各種市場における見込客の獲得」が主な目的です。

たとえば、外資のソフトメーカーが日本へソフトウェアの商品を売り込みたい時、広告・カタログやパンフレットの翻訳依頼が届きます。

この英日翻訳の注意点は「見込客となる日本人に製品・技術・サービスのレベルを伝えられる文章に仕上げること」です。

この点では英語で書かれた原文の意味を正確に読み解く力に加え、日本語の文章力や技術も問われると申し上げても過言ではないでしょう。

言い換えるとセールスライティングに長けている翻訳者が重宝される分野ですが、案件によっては医療翻訳を依頼されることもあります。

UI翻訳(ユーザーインターフェイス翻訳)

聞き慣れない言葉かもしれませんが、IT業界ではUI翻訳業務が多くなりました。

UI翻訳とは「ソフトウェア操作時のメッセージや説明書き、ポップアップ画面の表示言語の翻訳業務」を指します。

たとえば、海外のスポーツ実況プラットフォーム(英語)が日本人の一般アナウンサーを探す場合、TOPページ・サイトマップ・ユーザー登録画面を日本語に翻訳しなければいけません。

基本的には表示される文字のリストを顧客から預かり、翻訳後の文字をプラットフォームに流し込むフローとなります。

ゲーム翻訳やWEBサイト制作の多言語化(中国語・フランス語・韓国語等)でも、同じ業務が発生することもあります。

営業取引文書・商談文書

IT業界の営業取引文書・商談文書も翻訳の対象になります。

プロジェクトを立ち上げて日本法人の設立に向かったり、出資者への説明資料の翻訳も含めると、業務期間が数ヵ月に渡るのが大きな特徴です。

また、マーケティング以外にも法人設立や会計年度に関わる内容の取り交わしが頻繁に行われるため、ITの専門用語以外に法務・金融・経理用語も調べる必要があります。

お客様のビジネスを成功させるためのサポートを担う業務なので、総合力と高いレベルの対応能力が求められます。

海外イベント・マーケティングレポート翻訳

最後に海外イベント・マーケティングレポートです。

海外のエンターテイメントイベントに参加した方が残した音声データの文字起こし・速報レポートを翻訳してマーケティングをサポートする業務です。

翻訳のみではなく音声の文字起こしも含まれるケースがあるため、翻訳+αのパッケージ型の業務になります。

映像翻訳

会社のイベント案内動画・PR動画・採用情報動画の字幕が挙げられます。

過去にはオンラインイベント動画の字幕を翻訳し、納品した事例がありました。

動画編集ソフトウェアを使用しながら翻訳作業も行うため、複数の作業工程が発生します。

マーケティング翻訳の工程管理の概要とは?

契約書・就業規則翻訳はトライアルから

マーケティング翻訳の工程管理は大きく4種類に分かれます。

  • 交渉文書翻訳(メール含む)の工程管理
  • 提案書・報告書翻訳の工程管理
  • メディア向け・消費者向け発信文書
  • アンケート・レビューなどの調査関連文書

交渉文書翻訳(メール含む)の工程管理

交渉文書翻訳ではGoogle DocとCATツール(※)によるデータベースを利用して納品します。

商談メール翻訳の場合は毎回内容が変動します。

しかし、打合せの内容や認識の統一がメインとなるため、翻訳者が途中で変更になることは基本的にありません。

また、交渉に付随した添付ファイル文書は一部の意味や内容を組み替えて再利用されるケースが多いため、データベースを構築して過去の用語と言い回しを記録します。

商談文書翻訳は後のプロジェクト生成にも影響を与えるため、内容によってはダブルチェックを必須としています。

(※)Computer Assisted Translationの略称。一般的には翻訳支援ツールの総称として知られる。

提案書・報告書・広報文書翻訳の工程管理

提案書・報告書・広報文書翻訳の工程管理は、データベースに基づいたダブルチェックの体制となります。

案件ごとに提案書や報告書を提出する相手が異なる一方で、製品・サービスのラインナップにもとづく表記は統一しなければいけません。

たとえば、A社の製品XXXに関する提案書をB社とC社に提出する場合、B社とC社の特徴に鑑みて「です・ます調」や強調すべき箇所の言い回しを使い分けるケースがあります。

提案書が受理されて製品の受発注が始まると、異なる会社ごとに関連文書の長期案件翻訳が発生します。

長期のスパンで翻訳を続ける上でデータベースを構築しておくと、顧客ごとの文書を的確に使い分けられるのがデータベース構築の利点と言えるでしょう。

メディア向け・消費者向け発信文書

メディアや消費者向けの発信文書は「プレスリリース」と呼ばれます。海外のニュース記事を日本語に翻訳したり、逆に日本語の記事を外国語に翻訳して対外的に発信する業務です。

具体的な流れはシンプルで、プレスリリース概要の打合せを終えた後に配信原稿が入稿されます。

ニュース記事の場合は朝の入稿直後に業務が始まり、その日の午後には翻訳文書を納品しなければいけません。

納品後には記事を配信する準備を済ませ、指定時刻に配信となります。

配信時の注意点は、配信国の祝日・行事カレンダーと、配信国の時差を確認することです。

配信時に記事を掲載する業者が休んでいたり、そもそも記事が読まれなかったりするとタイミングの誤りとなってしまうため、情報を発信する国のカレンダーを事前に確認しなけれはいけません。

アンケート・レビューなどの調査関連文書

アンケート制作・レビュー翻訳もマーケティング翻訳では重要なタスクです。

自社開催の外部セミナーを開催した後には参加者へアンケートを配布するので、セミナー内容の改善に翻訳が役立ります。

またECサイトなどでは、顧客満足度を図る指標となる大事なレビューコメントを確認しなければいけません。

その上でもレビュー翻訳の需要は根強いのが現状です。

なおレビュー翻訳については、下記記事で詳しく解説しています。

参考記事>>レビュー翻訳で代表的な4つの事例とは?

翻訳会社にはどんな情報を渡せばいいのか?

翻訳会社にはどんな情報を渡せばいいのか?

マーケティング翻訳では臨機応変な対応が求められるので、開示ができる範囲で必要な情報を翻訳会社に渡すと無難です。

たとえばパワーポイントによる提案書を作成して翻訳会社に翻訳を依頼する場合、どのような相手にどの温度感で提案書を渡すのかを伝えると、翻訳会社と依頼者の間で認識の擦り合わせができます。

翻訳会社からは依頼者以外のプレイヤーの顔が見えません。

納品物を提出する相手やその後のプロセスについても情報共有しておくと、翻訳会社側も顧客から情報をいただきながら、状況に応じた成果物を納品できるようになります。

また、事前に翻訳会社と情報共有をしていれば突発の依頼も可能です。

とくにミーティング関連資料は突発業務がほとんどなので、想定される入稿のタイミングを事前に翻訳会社と情報共有しておく必要があります。

たとえば、日系企業がヨーロッパ方面の企業とミーティングをする時がいい例です。

時差は日本より遅れているため、日本時間の午前中に翻訳会社へミーティング資料の翻訳依頼が届き、昼過ぎまでに納品という業務のパターンが挙げられます。

マーケティング翻訳・通訳支援のオプション

法務翻訳:契約書・就業規則翻訳の外注時に注意したいこと

可能です。メールによる商談が進むにつれて通訳の手配が必要となります。

マーケティング翻訳で絡んでいた経験を持つ翻訳者であれば、一連のやり取りを熟知しています。

その翻訳者が通訳業務を担い、実際の商談(対面/ビデオ会議)で通訳サポートをする流れとなります。

たとえば、日本に進出したい外資系企業をサポートしている日系企業から商談メール翻訳の依頼を受けると、翻訳会社は基本的に契約締結まで一貫したサポートを実施します。

したがって、通訳者の手配もそのサポートの内に含まれるのが一般的です。

ローカライズ翻訳を依頼する

プレスリリース翻訳の事例

ローカライズ翻訳の場合、入稿前の段階でお客様と商談の機会を設けます。

たとえば外資系企業の場合なら「なぜ日本に進出しようとしているのか」「何をターゲットとしているのか」「マーケットの規模感に関する試算」「他の懸念事項」などのヒアリングを通し、お客様のビジネスを理解するように努める流れです。

広義における翻訳者が持つ役割とは、入稿されたデータのテキストを一言一句間違えずに別言語へ置き換えることではありません。

原文が持つニュアンスやメッセージを正しく読み取り、別言語の文化的背景や用語を踏まえて内容を伝達するのが翻訳者の主な責務です。

お客様のビジネスを理解しようと試みる過程で、お客様のニーズに沿った翻訳の提案が可能となります

日本市場への進出した後にも継続的なサポートが求められるケースが多いのが、ローカライズ翻訳の特徴です。

データベースの蓄積を依頼する

ローカライズを翻訳で重要なのはデータベースの蓄積です。

過去に翻訳会社へ依頼したお客様の翻訳案件で使われた用語や言い回しをデータベースとして登録しておくことで、次回以降の翻訳で用語のズレを未然に防ぎ、機械翻訳により納品後の修正や追加翻訳の手間を避けることができるからです。

たとえば外資系ITメーカーが日本で自社製品を販売する際には、製品ラインナップごとに異なる用語や言い回しが存在します。

データベースが構築されていない状態で異なる製品のパンフレットやマニュアルの翻訳を一度に発注するとどうなるでしょうか。

本来は区別しなければいけない言い回しがダブっていたり、統一されていなければいけない用語が合っていなければ、ズレが発生します。

言い回しや用語の問題が発生すると、翻訳会社に修正依頼をしなければいけません。

この不測の事態を回避するためにも、データベースを構築している翻訳会社へ依頼する方が賢明です。

ダブルチェックと申送り事項の記載を求める

ローカライズ翻訳ではダブルチェック以上の校正・校閲が入ると翻訳の精度が高まります。

翻訳会社によっては低単価提案に基づくシングルチェックで案件を終えるパターンがありますが、この場合は修正のリスクを残していると申し上げても過言ではありません。

データベースによる用語や言い回しの統一を図る場合でも、第三者の視点からは文脈にふさわしい表現ではないと解釈できるケースがあります。

一つのセンテンスに対して複数の解釈が可能となるのであれば、よりよい表現を追求する上ではダブルチェックをした上で申送り事項を付記し、お客様へ納品する流れになります。

上述の「申送り事項」は、翻訳会社からお客様へ渡す一種のバトンです。

このバトンの役割は「お客様の疑問を解決すること」にあります。

申送り事項がなければ、データベースやダブルチェックなど、翻訳会社ならではのサポートシステムを活かしきれていません。

ダブルチェックによる品質管理は、お客様とのコミュニケーションを図り、納品先の悩みやトラブルを未然に防ぐ重要な作業です。

用途と後工程の情報共有をする

ローカライズ翻訳の用途と後工程について、翻訳会社と情報共有するのも大事なポイントです。この情報共有の作業が「工程管理」と「翻訳料金」に大きく影響します。

たとえば外資系メーカーが自社内に英語のエキスパート翻訳者を抱えていながら翻訳会社へ下訳を依頼する場合、翻訳会社がダブルチェックを行わずにお客様へ納品し、お客様側で検品・修正対応をする場合があります。

納品物の落としどころをはっきりさせることで、「工程管理」と「翻訳料金」の詳細が決まるわけです。翻訳の工程管理ではデータベースの情報をもとにして翻訳しますが、単発の翻訳だとGoogleドキュメント上で作業する動き方もあります。

またお客様側でセカンドチェックやサードチェックを行わない場合、翻訳会社の工程管理がより重みを増します。

このように、具体的な落としどころから工程管理が決まる流れになると覚えておくといいでしょう。

継続発注でローカライズ翻訳を成功させる

翻訳はテキストの変換という認識が独り歩きする時がありますが、ローカライズ翻訳ではお客様の要望によって複雑な工程管理が組まれ、それに応じて翻訳料金も変動します。

とくに長期に渡るローカライズ翻訳案件で一定のパフォーマンスを生む場合は、翻訳会社によるヒアリングが必要不可欠です。

一般的な翻訳会社では、ローカライズを目的としたマニュアルやパンフレット翻訳の内容に合わせて人材を選任し、チームによるサポート体制を築きます。

工程管理や翻訳料金のカスタマイズが必要な場合は、積極的に翻訳会社へ希望を伝えるといいでしょう。

まとめ:マーケティング翻訳+αのサービスが重要

本記事ではマーケティング翻訳について解説しました。

近年のマーケティング翻訳は文字のみの翻訳だけでなく、パンフレットやWEBコンテンツの品質で自社製品・サービスの魅力を提供できるかがカギとなるのが大きな特徴です。

英語以外の多言語翻訳にも対応できるかどうかもポイントになります。

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マーケティング翻訳を依頼する時のポイント